1.バイオロギングを学ぶ

Q.バイオロギングに関するおすすめの書籍はありますか?

子供向けの絵本ですが、最近、福音館書店から出版された「なぜ君たちはグルグル回るのか」は、バイオロギング研究の現場の様子をリアルに伝える楽しい本でした。大人が読んでも楽しめると思います。また、渡辺佑基さんが執筆した「ペンギンが教えてくれた物理のはなし」と「進化の法則は北極のサメが知っていた」も面白かったです(坂本)。

海鳥の行動と生態―その海洋生活への適応(綿貫豊、生物研究社)」、「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待(佐藤克文、光文社)」綿貫本は、海鳥について広い話題を丁寧に網羅しています。佐藤本は、学問とエンタメのバランスが絶妙(依田)。

バイオロギング1、バイオロギング2 (日本バイオロギング研究会編、京都通信社)他、バイオロギング研究者が執筆した本。坂本先生ご推薦の「なぜ君たちはグルグル回るのか」はイラストもバイオロギング研究者によるものでとっても素敵でした!絵本「動物たちが教えてくれる 海の中のくらし (たくさんのふしぎ)」も良いです!(木村)

すでに挙がっていますが、私もバイオロギング1、バイオロギング2(日本バイオロギング研究会編、京都通信社)をお勧めします。これらの本はバイオロギングを使って今までどのような研究が行われてきたのかが哺乳類・鳥類・魚類と様々な種に渡って紹介されているので、バイオロギングの全体的な世界観を知るのにうってつけです。(上坂)

私の書いた絵本を紹介して下さいまして、ありがとうございます。嬉しいので、研究室訪問に来て下さる高校生や大学生には絵本を差し上げます。(佐藤)

バイオロギング:「ペンギン目線」の動物行動学」(極地研ライブラリー)では「海に水中望遠鏡を」という意気込みでバイオロギングを始めた内藤靖彦先生による手法開発の苦労の歴史が読めます(高橋)

月刊たくさんのふしぎ「なぜ君たちはグルグル回るのか 海の動物たちの謎」は激アツです。(岩田)

Q.バイオロギングの本を読む時、レベル別にどのような書籍がおすすめですか?

上の質問の回答で挙げられた本の中で言うと、「海鳥の行動と生態―その海洋生活への適応」は、やや専門的で、これから海鳥の勉強をしたいと言う人にお勧めです。それ以外の本は、専門知識が必要なく、誰でも楽しく読むことが出来ると思います(坂本)。

数理や統計やバイオロギングデータに興味のある大学生には、「フィールドデータによる統計モデリングとAIC」(https://www.amazon.co.jp/dp/B01CHBNLL4)もおすすめです(依田)。

Q.(高校生からの質問)先生が生物科やバイオロギングに興味を持ち進路として選択したきっかけはありますか?生物科と言っても選択できる範囲はかなり幅広く将来の専攻を何にするか悩んでいて参考にしたいです。

私は哺乳類や鳥類と言った比較的大きな動物のことを学びたかったので、獣医学科に進学しました。獣医学科に進学してみると、イヌやウシの医学に関する学問の比重が大きいことが分かりました。私は野生動物に関心があったので、その後、少し専門分野を変更して、現在はバイオロギングを専門にしています(坂本)。

私は海洋生物を研究したいという漠然とした目標で水産学部に進学しましたが、学部で学んでいく中で、生き物の移動・回遊、特にサケやウミガメが自分の生まれた場所に回帰するという現象とそのナビゲーション機構に興味を持ちました。生物の”移動・行動を追跡する”バイオロギングという手法は、まさにぴったりで、そのままその研究室を選択するに至りました(奥山)。

これは高校の理科の選択科目選択についての質問でしょうか。私は高校では物理・化学を選択しました。(佐藤)

高校は物理・化学選択でした。私が通っていた学部では、1,2年次は学科を決める必要がなかったので、その間に生物系の動物行動学を専攻することを決めました。バイオロギングには当時は興味が無かったというか知らなかったです(バイオロギングという言葉も無かった)。4年次に縁があり、ロガーを用いた研究をはじめました。(依田)

野生動物の行動に興味があり、バイオロギングはそれを調べることのできる最も優れた手法だと思い、バイオロギング研究の道に進みました。高校の時は生物と化学を選択していました。化学は赤点ギリギリだったので途中で取るのをやめたので実質生物しか勉強しませんでした。今思うと生物は後からでも簡単に勉強できるので、高校の時は物理化学を選択した方が良いと感じております(特に物理)(岩田)。

Q.(高校生からの質問)バイオロギングを研究するにあたって、必要な数学はありますか。また、生物の研究をするときに必要になる数学を教えてください。(数学好きです)

高校で学ぶ数学はバイオロギングを研究する上で、どれも必要だと思います。力学(物理)と統計学は使う機会が多いように思います(坂本)。

坂本先生からのご回答の通り、高校数学は研究で必要な理系科目すべての基礎です。つまり、物理も生物も地学も全て数学ありきで成り立っています。私たちバイオロギング研究者も、日頃から微分積分やベクトルなどの概念をこねくり回して動物のことを考えています。もし大学で特定の数学の分野を専攻しながらバイオロギング研究を行いたいと考えているのであれば、とても面白いことだと思います。ただその場合、高度な数学がどのようにバイオロギングに貢献してくれるのかは未知数ですので、この分野をやっておくといいよというのは分かりません。(上坂)

バイオロギングに限らず生物系で数学や物理に強いのは大きなアドバンテージですので、引き続き頑張ってください。(依田)

大学院生のときに、ペンギンが潜っていくときの角度を加速度記録計から計算しようとして三角関数をよく理解できていなかったことに気が付きました。高校数学の参考書を買って勉強し直しました。(高橋)

数学好き、素晴らしいです。バイオロギングに限らず色々なところで役に立つと思います。(木村)

Q.バイオロギングに関して、勉強面のことに限らず高校生のうちにやっておくべきことはなんですか?

たくさん本を読んでください。可能なら、生き物の飼育をすると良いと思います(坂本)。

自身の生活能力を高めること。体を鍛えること。研究のために、世界のどんな僻地に行っても生活できる能力は、野外調査では勉強面以上に大切です。(高橋)

めいっぱい毎日を楽しんでください!(木村)

運動です。野外調査に必要な基礎体力がつきます。研究が行き詰まった時の忍耐力がつきます。大人になってからサッカー等のスポーツコミュニケーションが必要とされるときに役立ちます。(岩田)

求められている答えではないでしょうが、焦らず、いろいろなものを見て、触れて、学びましょう。バイオロギングに限らず、「研究できるようになる」には時間がかかります。大学4年生になると卒業研究を行いますが、それは研究の練習のようなものです。修士課程(大学卒業後の2年間)を終えると、一通りの決まった作業がこなせるようにはなります。その後の博士課程のどこかの段階でようやく、自分の頭脳と様々なスキルの歯車が噛み合い、自分で研究している実感が持てるようになります。このように時間がかかることですので、焦らずに、目の前の課題や好きなことに取り組みましょう。高校・大学時代は体育会の部活に専念していた教授も多いです。遠回りが最適な道なこともよくあります。(依田)

上記の皆様の回答に大賛成です。なんでも一回やってみることは大事だと思います。もっと実用的な話で言うと、フィールドに出たときには日常の生活力が如実に現れる気がします。例えば日ごろからちょっとした物の修理や工作を自分でしていれば、ビニールテープや瞬間接着剤の適切な使い方がなんとなく分かると思います。体力も生活力の一つでしょう。チームでフィールドに行っていると、料理当番が周ってくることがあるかもしれませんし(俺料理できないんでパスなんて言えない)、アンガーマネジメントも必要です。日々のちょっとした不便に自力で対応する力が大切だと思います。(上坂)

Q.高校1年生です。将来バイオロギングを研究したいと思っているのですが、京大の農学部と理学部だったらどちらに行くべきでしょうか?

神戸大の海洋政策科学部です(岩田)。

私は京大理学部〜大学院出身ですが、良かったと思っています。良かった理由のほとんどは超放任だったことに起因しますので、一般的ではないと思いますし、現在は違うかもしれません。京大農学部には所属したことがないのでわかりません。農学部は実学(人間社会に役立つ学問)、理学は虚学(そうではない学問)と言われますが、両者の境界は曖昧になってきています(依田)。

追記:佐藤さんの回答を見て思い出しましたが、日本で動物行動学を確立した日高敏隆さんが創った研究室に行きたいという動機が私にはありました。私が研究室に配属されたときには日高さんは既に退官していましたが、直弟子の皆さんから受けた影響は大きく、今でも財産です。(依田)

私は京大農学部・情報学研究科出身ですが、研究会には京大理学部・農学部、どちらの出身研究者もいます。バイオロギングは手法・手段なので、どこで何の動物のどういうことを研究したいか?を考えてみてください。研究者(先生)により各々対象種やフィールドが異なるのでその点をご参考にされると良いかもしれません。また、学部によりカリキュラムが異なるため、どのような勉強をしたいかにもよるのではないでしょうか。(院試に通れば)大学院から他の大学・他の研究科の研究室に進むことも勿論できます。岩田先生のご回答のように京大以外の大学・学部もぜひ見てみると良いと思います。(木村)

理学部じゃなくても他の学部や他大学からでも院試に受かればバイオロギング研究は可能です.生物系でなかったとしても,工学系の勉強をしてからでも,数学系で統計などの勉強をしてからでも,大学院での研究に役立つと思います.そして,どこにいたとしても興味のある研究をしている先生にコンタクトを取れば,学部生のうちからフィールド調査に参加できる機会もあります.「このような道を進まなければ,バイオロギング研究者になれない」ということはありません.いろんな場所に行き,いろんな人と話をし,いろんな経験を積むことが大事です.(三谷)

学部ではなく、師事したい人が今どこに居るかで選ぶべきかと思います。私は京大農学部出身、依田さんは京大理学部出身、それぞれ在学時に自分に合った先生がそこにいたということです。(佐藤)

大学の授業で使われていそうな参考書を本屋で覗いてみてください。そして、興味があった方(理解できた方ではなくて)を選ぶのがいいと思います。バイオロギングに役に立つかという観点で言うと、どちらでもいいです。私は理学部物理学科に進みました。高校の時物理が好きだったからです。しかし大学に入ってから学ぶ物理にはそこまでのめり込むことができませんでした。大学で具体的にどんなことを学ぶのか事前に見ておけばよかったなぁと思います。今ではそれが役に立っているので後悔はしていませんが。(上坂)

Q.(高校3年生からの質問)生物学と地球科学が大好きで、大学では生物学を学ぶことになりました。先生方は、いくつかの強い興味を持つものがあって、どちらかだけしか専攻できない時どうしてきましたか?

じっくりと考えても、甲乙つけがたい時には、どちらを選んでも正解なのだと考えることにしています(坂本)。

生態学と地球科学を学べる学科もあります(名大>宣伝です)。何か一つを極めたら、他分野のスキルを獲得するルートも想像できます。必要なときに学べば良いと思います。(依田)

坂本先生に御意です。専攻できない方は自学・オンライン教材を探すとか、他学部や他専攻の授業を取るとか、本当にやる気があれば両方できます。両方やれなくて残念と思わず、両方興味があって楽しい!と思ってください。(木村)

Q.バイオロギングを研究手法として使うために学んだ方が良い学問にはどんなものがありますか?大学の学部生です。

日常的に本をたくさん読む習慣をつけることが重要です。研究で必要になる学問は、それぞれの人やタイミングによって異なります。その時々で研究に必要となる事柄を学ぶ能力を身につけるなら、読書の習慣をつけるのが一番です(坂本)。

英語をやっておいて損はありません。海外での野外調査、国際学会での発表、国際学会誌への論文執筆等さまざまな場面で英語力が必要とされます。読む書く聞く話す、とにかく英語力を身につけておくと役立ちます(岩田)。

教養科目レベルの数学、物理、プログラミング。文系科目や語学(依田)。

データサイエンス(情報、数理、統計、プログラミング)、英語、生物、物理・・全部でしょうか。文章力もかなり重要です。こちらは長期戦でないとなかなか身につかないので、読書習慣は重要だと思います。世界の研究者と話すのに、教養も高いほど良いです。(木村)

どの専門性を磨くべきか、という質問だとするならば、何でもいいと思います。機械を作る人もいれば、現場でデータを集める人、高度なデータ処理を行う人まで様々です(現場でデータを集めるのはだいたい皆自分でやりますが)。バイオロギングには無限の可能性があるので、思いもよらなかった自分の得意分野がバイオロギングと融合することもあるかもしれません。もっと一般的な話で、基礎知識として何が必要かということであれば、他の方々が回答していらっしゃるように英語・数学・物理・プログラミングはもちろん国語(正しい日本語の文を書く力)、社会(世界で何が起こっていてどのような研究が必要とされているのか)に至るまで全てです。(上坂)

木村さんの回答を見て思いだしたことがあります。自分の仕事に直接役に立たないように一見思える無駄知識のことを教養といいます。昔、アメリカ人2人と一緒にエンペラーペンギン調査をした際、氷上のコロニー脇で2ヶ月間キャンプしたことがあります。一般的な話題がそろそろ尽きた頃、「芸者と舞子は何が違うんだ?」と尋ねられました。もちろん実体験は伴いませんが、たまたま本で読んで違いを知ってた私が詳しく解説したところ、彼らの私を見る目が明らかに変わりました。どっち方向に変わったのかはさておき、その後の私の研究者人生に二人は大きな影響を及ぼしてくれました。一人はGerald Kooyman、もう一人はGreg Marshall。どちらもバイオロギング分野に大きな足跡を残した人です。(佐藤)

一度回答しましたが、追記します。皆さんの回答では様々な学問が挙げられていますが、その全てが出来るスーパーマンのような人は、そうそういません。大雑把に言って、野外で調査するのが好きな人、コンピュータでデータ解析をするのが好きな人がバイオロギングに向いていると思います。そういった事を念頭に置いて、自分の好きな事や得意な事を学んでおくのが良いと思います(坂本)。

Q.大学で学ぶ数学、物理、化学は、バイオロギングの研究でも必要不可欠になってきますか?

はい。でも、私の場合は大学1~2年生の時には真面目に授業を聞いていませんでした(必要だと思っていなかった)。研究を始めてから、自分で勉強しなおしました(坂本)。

Q.流体解析を学んでいるのですが、バイオロギングで活かせそうですか?

学部で工学を学び、その後、修士課程からバイオロギングを学ぶのは、良い進路選択だと思います(坂本)。

野鳥観察する際に、個体の周囲の流れが「見える」のは羨ましいですね。バイオロギングにも役立つと思います。(依田)

活かせます。(岩田)

活かせます。羨ましいです。(木村)

活かせます。羨ましいです。待ってます。(上坂)

Q.皆様は,大学院への進学を考えた時に,何を決め手に大学を選ばれたのでしょうか?

大学院の生活は、研究のことに留まらず、考え方や生き方などにも大きな影響を与えます。尊敬できそうな人、好きになれそうな人を大学院の先生に選ぶと良いと思います(坂本)。

Q.現在学部3年生です。来年バイオロギングを行なっている他大学を受験し、院生からバイオロギングを使って海鳥の研究を行いたいと考えています。もし希望の研究室に入学できたとしても、他の学生よりバイオロギングの経験や知識がなく遅れを取ると思うので、入学前に必要な勉強や準備などがあれば具体的に教えて頂きたいです。

海鳥の種類や研究の目的によっても変わるかもしれません。具体的な研究室を想定しているのであれば、そちらの先生に直接聞くのがいいと思います。一般的な海洋学、動物行動学、生態学の知識、バイオロギング本は役に立つ気がします。(木村)

大学院入学前にピンポイントでバイオロギングに必要な知識というものは無い気がします。木村さんも言っている通り一般的な生態学の知識等は学んでおいて無駄にはなりません(岩田)。

行動や生態の研究をするのであれば、「行動生態学」。行動や進化の裏に理屈がある、と認識しておくと強い(依田)。

生態学の英語の教科書を1冊読み通すこと。(高橋)

Q.バイオロギングで得られるデータ処理の方法をどのように身に付けましたか?はじめの一歩がどのようなものであったか知りたいです。

最初の半年くらいは、全然上達している実感がありませんでした。懲りずに続けていたら、ある時から急に上手になったような感じがしました。データ処理(プログラミング)は、外国語の学習と似ているような気がします。少しずつでも毎日休まずに続けると良いと思います(坂本)。

Q.博士課程のみ(3年間)でバイオロギング研究をすることは難しいでしょうか?

博士後期課程からバイオロギング研究を始めて3年間で博士号を取得した例を知っています。本人のやる気次第だと思います!(岩田)

そもそも3年間で博士の学位をとるのが大変なことです。バイオロギング研究だから難しい、ということはありません(依田)。

岩田先生、依田先生に御意です。(木村)

私は博士後期課程からバイオロギング研究を始めました。ですので、まったく気にする必要はありません(奥山)。

Q.博士から進路を変えるときに迷わなかったのかお聞きしたいです。

とても迷いました。私は博士課程に入る前は環境汚染の研究をしていました。死亡した野生動物から臓器を取り出して、タンパク質や化学物質を詳しく調べることで、環境汚染の影響を評価するといった研究です(博士課程以前はバイオロギングのことを知りませんでした)。しかし、生きている野生動物を相手にした行動や生態の研究をどうしてもやりたかったし、やらないと悔いが残ると思ったので、進路を変えました。もし、既にやりたいことが決まっているのなら、修士課程(あるいは学部)から始めた方が良いです。博士課程から始めると、遅く始めた分だけ、苦労することもあります。一方で、始めるのが遅くても、道を切り開くことが出来るのも事実です。人生には思い通りにならないこともありますが、人生の進路を選択することは出来ます。ご自分の人生はご自身のものですから、悔いの残らない人生を歩んでください(坂本)。

私は博士で進路を変えたわけではありませんが、修士のあと就職するか、進学するか、進路をとても迷いました。バイオロギング研究会を命名した内藤先生に「どっちも楽しいと思えるなら、君はどっちに行っても大丈夫だ」と言われて、進学の決心がつきました。(木村)

とても迷いましたが、結局自分だけで情報収集して悩んでもどうしようもなかったので、研究室訪問をしました。そのときに背中を押されたような気持ちになったので決心しました。悔いのない選択をその時にするのは難しいですが、選択を後から悔いのないものにすることはできます。(上坂)

Q.大学院でバイオロギング等の研究をした学生は、その後、どのような職に就くのでしょうか?研究職しかいないのか、一般職もいるのか教えていただきたいです。

修士で就職する学生もたくさんいます。環境系、公務員、銀行、エンジニア、写真家など様々です。博士課程のあとは、ほとんどの場合は研究職につきますが、データサイエンティストなど民間就職も最近は増えています(依田)。

一般職も研究職も(起業も無職も主婦も主夫でも)可能です。最近では博士後期課程卒業後、一般職につく方もいます。研究室HPに情報が記載されていることもあると思うので見てみてはいかがでしょうか。京大農学部のバイオロギング研究卒業生の就職先の例はこちら https://sites.google.com/view/fish-environ-oceanograph/home (木村)

水産研究・教育機構には、大学・大学院でバイオロギング研究に携わった多くの学生が就職しています。研究職が多いですが、研究を支える一般職の方もいらっしゃいます(奥山)。

昔は大学院へ進学した学生には研究者になって欲しいと思っていました。しかし、漫画家になった人や起業した人を実際に目の当たりにして、何でもありだということがとても良く分かりました。(佐藤)

コンピュータを使ったデータ解析を行うので、就職先としては、他の生物系の学問分野に比べて、データサイエンスの分野で強みが発揮されると思います(坂本)。

Q.将来は水族館などで直接動物と関わりたいと思っています。今からどんなことをしていくべきでしょうか?

将来水族館で働きたいという意味だと思いますので、その前提でお話します。私は水族館で働いたことが無いので確実なことは分かりませんが、「動物の飼育をしたい」、「魅力的なディスプレイで観客を喜ばせたい」、「動物と協力した産業を発展させたい」、「保全研究を行いたい」など、水族館で働きたい動機はいろいろあると思います。バイオロギングのように動物の研究を行うことは、水族館で働くための一つの訓練になるとは思いますが、まずは直接動物と関わることで自分は何がしたいのかをじっくり考えてみるのがいいとおもいます。そうすれば、なにが必要で今のうちに何をするのがよいのか分かってくるのではないでしょうか。応援しています!(上坂)

水族館の方に聞くのが良いと思います。水族館で働くトレーナーを養成する専門学校もありますので、そちらの先生や卒業生の方に聞くのも良いかもしれません。(木村)

Q.バイオロギング研究にはどんな気持ちで臨む必要がありますか。また、バイオロギングの研究をしていて苦戦することはありますか?覚悟しておくべきことや研究に対する姿勢などを知りたいです。

計画通りに研究が進むことがあまりないため、諦めない姿勢と何事も楽しめる気持ちが重要かと思います(岩田)。

バイオロギングだからといって特筆することはありません。好きな研究をすれば良いと思います(依田)。

研究を楽しく思えれば続けられると思います。どのような仕事でも同じではないかと思っています。(木村)

やりたい研究を達成するために、バイオロギングが必要なのであれば必然と学ぶようになると思います。バイオロギングありきではなく、自分の興味、やりたい事が何であるかを追及することの方が大事なような気がします(奥山)。

「なぜ君たちはグルグル回るのか」(福音館書店)の後書きに作者の言葉として以下のようなことを記しました。http://takusannofushigi.fukuinkan.co.jp/2022/10/11.html

(佐藤)

バイオロギングが好き、という気持ちが大事だと思います(坂本)。

バイオロギング装置をとりつけさせてもらう動物への感謝と敬意を忘れずにいたいと思っています(高橋)